アートつちざわ 2014


                                                     Photo by Toshiharu Sasaki
Photo by Toshiharu Sasaki

松本秋則さんの≪Sound Theater≫が15mの楕円状のスクリーンを設置して今までにないスケールの展示となると聞いて、土澤まで出かけました。
いつもは車窓から見ていた小さな駅に降り立って、商店街を歩いて食堂に入ったり町の人と話したりと何気ないいい旅でした。文殊の知恵熱のメンバーでもある舞踏家村田青朔さんも2007年以来の土澤でのsanpoを行うというので更にワクワク。

まるで一座の新入りのような感じでついていきました。

いくつかのエピソードを書きとめながら、最後にその様子を3分程度のスライドショー(無音)にしています。
                                   

車窓から小高いところにある土澤城跡舘山公園に赤い球状のような菊池俊道≪おぉ、りんご?!≫が見えるとすぐ土澤駅に到着。
前日から突風が吹いて作品はその後一時撤去され、翌朝公園に行ってみると菊池さんが再度設営をするかどうか検討されている最中でした。「突風にあおられ作品が飛ばされてボランティアの方に何かあっても申し訳ないから、これで終了するかもしれません。」と。「車窓からすぐわかり、再開されたかと思って」と話すと「いろいろな方からこれを見たくて登ってきたなど嬉しい声をいただいています。」と笑いながら関係者からの電話応対に追われておられました。その後復活

この季節はたまに突風が吹くらしく、松本さんの作品も同様に入口の暗幕があおられて手直しをしました。このようなプロジェクトはどこもオルタナティブスペースでしかも天侯に左右されるのは宿命と言っても過言ではなく、実行委員やボランティアの方の連携で支えられていることが町を歩いていてもよくわかります。 都筑アートプロジェクトでも台風時に関係者や公園管理の方に大変お世話になったことや作品の管理にも大変気をつかったことがよみがえりました。その後、路地裏にある蔵に入ったところ暗闇から「おはようございます」とおばあさんの声がしてドキっ。プロジェクトが始まって以来ボランティアスタッフを続けておられるということで、どの会場がご自分に合っているかも習得済みと言われ、足元に暖房器具を置きあたたかい膝かけでくるんで、まるで作品のひとつのようにお当番をされていました。「お客さんが驚く前に声かけるようにしてるの。」と笑っておられましたが、ひんやり冷たく暗い蔵で3時間のお当番。ボランティアの多くが高齢の方で、笑顔でプロジェクトを支え町を血の通ったものにしているという印象です。
お昼は「粉ひきのゴーシュ」という丘陵地帯にあるパン屋さんへ。町中で7年営業後、市街地から車で10分程度の田園風景の中の一軒家に移転。遠野ともちがう、まるでプロヴァンスのような場所で(行ったことはないのに)昼食後ちょっと村田さんが田園の中で踊りました。

宿泊したホテルでは震災後3月13日に生まれた山羊の兄弟を飼っていて、近隣の小学校の子どもたちと大の仲良しだとか。男の子「陽/はる」、女の子「希/のぞみ」と名付けてくれたそうです。支配人の方が震災当時、宿泊者とどのように過ごしたのかなどはる君達に好物のキャベツをあげながら話してくださいました。町にもどり週末新花巻、釜石間を走るSL銀河が土澤駅を通過した時は、そばにいたおばあさんが「昔はこれに乗っていたんだから珍しくもないけど。」と走り寄った私に笑いかけ、大阪に嫁いだけど1人になったから空家になっている実家に戻ってきて震災にあったこと、空いている店舗があるけど人に使ってもらうのは大変だしねぇと思案顔でした。
昨年、横浜で企画した≪3.11から今≫写真展に出展してくれた阿部美香子さんが大槌町からかけつけてくれて、嬉しい再会に遠くて近いような不思議な気持ちになりました。スライドショーは松本さんの展示風景に始まり、会場内のsanpo(作品の中にシルエットで溶け込んでいます)、鎌田紀子さんの展示会場での女の子との出会い、同時開催のクラフト市の賑わい、作品の前に出店が立つなど和やかな町の風景をご覧ください。震災後人口16,000人から1万人を切ったと聞きました。NYCから帰国後、秋田アートプロジェクトの搬入、ワークショップを終えた松本さんと土澤で合流したのですが、NHKの取材もあり大勢の来場者に応対されていました。 商店街の元呉服屋だった場所にある≪Sound Theater≫に道行く人が吸い込まれていくような光景と夜はシンと静まりかえる商店街と。

最後にアート@つちざわ 非→半公式ブログを紹介します。町でスタッフの方が時々「そのうち半公式ブログにつぶやかれるかもね」と運営の様子が公開されていると教えてくれました。なるほど、このプロジェクト進捗情報あったかい記事で、展示会場全てを案内してくれているような気がします。ぜひ。「個人的な思い

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